KIM MYUNG-MIN    ++ARENA 7月号++

すごくよく
知られるようになった

キム・ミョンミンはまっすぐな男だ。
我々はそんな人を“FM*”と呼ぶ。
インタビューはやはり固かった。
言うことだけをすぱっと切りだす。
正直、面白くない男だ。
しかし静かに聞いていると、彼の中に逸脱を夢見る
また違うキム・ミョンミンが見える。

*注釈:FMラジオのFM。余計なおしゃべりはなく。まじめに曲紹介をして音楽を流す、という意味。


私が過去にインタビューした<鏡の中へ>のキム・ミョンミンと現在のキム・ミョンミンの間には7年という空白がある。その間キム・ミョンミンはどんな風に変わったのか?

そのままだ。あの時も今も私はずっと“切迫して”演技する。

その“切迫感”とはどんな意味か?

演技スタイルになるかもしれないが、俳優に現在の作品がなかったら次の作品もない。今出演する作品に最善を尽くしてこそ次の山が見えてくる。そのような意味の切迫感をあの頃も今も持っている。その切迫感で私は<破壊された男>に臨んだ。そうしたから<朝鮮 名探偵チョン・ヤギョン>というまた切迫して登ることができる山が見えるということだ。

前作<私の愛 私のそばに>以降、弱った体が今も正常に完全に戻っていないと聞いた。そのように壊れた身体で<破壊された男>の撮影に合流した。本当に大変そうだった。

私も知らない症状が現れ始めた。少し走っても筋肉が痙攣をおこした。胃腸などの臓器の方も同じだった。。規則的な生活をしながらリハビリする時は大丈夫なんだが、撮影が始まってストレスも重なってちゃんと寝ることもできない不規則な生活をするようになった。そうするとすぐにその影響が出るんだ。後遺症を初めて経験したのでちょっと面食らったりもした。

キム・ミョンミンの正常体重が72kg程度だと聞いた。今も66kg程度にしか回復しないと。

あれ以降8カ月間持続して管理してきたのですごく良くなった。死ぬ病気ではない。ハハ。だが、人の身体というのは1度病気をすると完全に回復はしない。たとえば最後の撮影を終えて打ち上げする時、飲み過ぎればすぐに翌日お腹を壊すから。だから時間ができると登山をして規則的に運動もしている。食事は胃が小さくなってたくさん食べることができず、少しずつ分けてたびたび摂る。

お酒をもともとあまり飲まないことで知られている。以前にはたばこを吸っていたのだが今はどうか?

<白い巨塔>以降止めたが<破壊された男>撮影のためにまた吸った。今はまた止めた。

強い演技をするだけあって、意思の強い人だね。

ハハ。コントロールしようと思えばできる。たばこに執着したら止めることはできない。これはいつも私が吸いたい時に吸うことができると思えばできる。単に今は吸いたくないので吸わないのだと。今回はすぐやめなきゃ。こんな風に禁煙すればむしろストレスが発生して止めることができない場合が多い。私の机の上には撮影の時に吸ったたばこがそのまま残っている。1日に2箱以上吸ったこともあったが、今は吸わない。

インタビューの前日<破壊された男>の完成版を見たと聞いた。どうだったか?

俳優はいつも心残りだけが残る。すべての作品がそうだ。

その心残りというもの。あなただけではなくすべての俳優が言及するものだ。一体、その心残りとはいつになったら消えるのか。

永遠になくならないものだ。単にその心残りを感じる回数や量を減らして行くのは演技をずっとする間の目標ではないかと思う。

思ったほど映画にたくさん出演したわけではないけど。その何回かのフィルモグラフィを見てみると大部分が新人監督との作業だった。今回の新作もそうだし、唯一前作がパク・チンピョ監督という既成の監督の作品だ。もうあなたの地位にいる俳優ならスター監督からオファーがあったり、選択することができるはずなんだが。

今まで私はシナリオをまず優先にする俳優だった。それで間違いを犯したこともあったようだ。結局監督が一番重要だということを最近切実に感じている。映画は“監督の芸術”であるということを。

<私の愛 私のそばに>のパク・チンピョ監督はスター監督の中の一人だ。違いがあったか?

彼のシナリオは空白がものすごく多い。隙も多かった。それだけに不親切だった。それでも豊かなストーリーを創りだした。また美しいイメージを創りだした。撮影の間中、感嘆した。

<破壊された男>のシナリオもあなたをぐっと引き寄せた魅力があったのか?

自分がやろう、やれることがたくさんあるという風に思った。
私が引き受けたチュ・ヨンスという人物はすべての俳優がうらやましがるキャラクターだ。本当にシナリオのまま結果が出てくれたら私のフィルモグラフィの中で自慢げに話ができる作品になるかと思った。

私と以前にインタビューした当時にロバート・デニーロが変化の激しいイメージを見せてくれた<The FAN>を11回見たという話を思い出した。

そうだ。そういうキャラクターだ。私はそういうものが好きだ。

あなたのフィルモグラフィーの中の映画主演デビュー作だった<鳥肌>が今も一番好きだ。私は今もあの作品のDVDを時々取り出してみる。

私の映画の中で最高なものを言えと言われれば、私はやはり断固として<鳥肌>を選ぶ。ユン・ジョンチャン監督の力量が創りだした結果だ。当時の私は新人で余計なものが多い雑な俳優だった。そんな私に賭けてくれてあの映画をつくたことは本当に凄いことだ。

私は今も廊下でチカチカする蛍光灯をみると、<鳥肌>を思い出す。
すでに故人になったチャン・ジニョンにも最高の映画ではなかったかと思う。もしかして彼女について思い出があるか?

あの時私が未熟なところが多くて私一人世話するのが精いっぱいだった。女優であり、相手役である彼女を楽にしてあげられず優しく世話してあげられず、心残りがすごく残っている。もっと親しくもなれなかった。寡黙で差し迫っていたので。私ではない他の誰かを面倒みる余裕がなかった。それでさらに申し訳なく思う。

映画でキム・ミョンミンはヒットメーカーの俳優ではない。でもドラマに行けば、作品がシンドロームを呼ぶ。

昨日<破壊された男>の技術試写を見て出て来てそのような思いがした。
なぜそうなのかについて答えはまだ見つけられない。

今私の前にいる現実のキム・ミョンミンはどんな人なのか。ありのままに話してくれたら嬉しい。

私は自分を飾るということは良くわからない。ただこんな人間だ。今インタビューしながら写真撮影しながら見える姿だけだ。

穏やかに見えるのだが癇癪を起したり、怒ったりするか?

仕事の面でスタッフが失敗した時、そのような時は当然怒る。私は仕事においては正確さを好む。失敗がないことを願う。そのような部分は本人たちが自ら理解してやるべきことだと思う。各々が自分の立場で最善を尽くせばぎくしゃくすることもない。誰か一人失敗してあちこちに被害が及ぶのがすごく嫌だ。

もしかして約束の時間を破るのは嫌いなのではないか?

その通りだ。時間の約束は本当に正確に守る。撮影現場でも先に出て行く方だ。

さっきロバート・デニーロの話が出たからなのだが、7年前私とインタビューした当時、一番好きな韓国俳優としてチェ・ミンシクを選んだ。でも彼がその何年後から今まで皆が知っているようにぷっつりと歩みを止めた。もちろん今キム・ジウン監督の新作で再びカンバックしたのだが。

さっき言及した7年は誰かの立場を変えるほどの時間でもある。その間ずっと誰かから尊敬され続けることは容易くないことだ。それだけに私のロールモデルが変わることもありうる時間だ。私も経歴を積んで見ると、最近新人演技者たちが私をロールモデルにするという話を時々聞く。本当にプレッシャーだ。当時先輩たちが歩んで行った道のり(そこの良し悪しに関係なく)を見れば、本当にちゃんとしなければと思う。

そういう今のあなたが望む理想は誰か?

私が本当に見習っていきたい人はハリウッドにいる。私に、ものすごい減量を耐えてすばらしかったと言うのだが、彼らに比べれば足元にも及ばない(直訳:「鳥足之血」だ)。身を削って声帯まで壊してまで新しい人物を創造する<There will be blood>(2008年)のダニエル・デイ・ルイスやショーン・ペンのような人物は私の生涯のロールモデルだ。

私たちはスーツを着たあなたの姿をたくさん見てきた。おそらく<ベートーベン・ウィルス>のマエストロの扮装が創りだしたイメージが大きいからかもしれない。普段はどんなスタイルの服を好むのか。

私はカジュアルしか着ない。実生活でスーツを着ることはほとんどない。1年に一回着るのが難しいのがスーツだ。ハハ(笑)。


予想なのだが、あなたは車がすごく好きなようだ。

どうして知っているのか?本当に好きだ。

個人的に保有している車はどんなモデルか?

う〜ん。それを記事に出すの?そのような話はしない方が良い。
私がストレスを解消する唯一の気晴らしは車に乗ってスピードを楽しむことだ。どんな車に乗っているか記事に明らかにするのはちょっと慎重になる。理解してほしい

自動車はいつから好きなのか?

子供の頃からだ。男性の中で車を好きじゃない人はあまりいない。昔から父が海外に行くたびに毎回お土産にもらったのがミニチュアカーだった。プラモデルもものすごく作った。私の部屋の飾り棚には偉人伝全集や百科事典ではなくて、そういう車で一杯だった。大人になったら、車庫に好きな車を全部集めたかった。それは夢だ。ハハ。実際にそれは大変だから

どんな車が好きなのか気になる。

正統派セダン、正統派スポーツカー、正統派ジープ、私はそのような車のジャンルでオリジナリティを持った車が好きだ。

キム・ミョンミンのドリームカーが急に気になった。

まったくもう〜。持つことができないのに。マイバッハの62S ランドレーこれはすごい。後部座席は完全にヨットだ。私が見せてあげる。
(自分のスマートフォンからランドレーの動画を直接見せでくれる。この車。かっこいい)
こんな車は絶対運転手がいなければならない。車が白なので家も白でなきゃ。韓国では乗ることができない。ハハ。

4輪が好きなら当然2輪も好きなはずだ。

妻と約束したことが一つある。生涯絶対バイクは乗らないというものだ。
2002年ごろ予算が足りずに完成しなかった映画<スタントマン>でバイクアクションをするためにドリフト、ウォーリーなどの技術を日本から来た専門家にすべて習った。(感激して)痺れた。でも撮影中事故で足首、足の指など重傷を負った。(自分のアゴを指して、当時負った傷跡も見せてくれた)。3カ月以上入院もしたので最近も雨が降るとそこが痛い。その時まではソウルから釜山の撮影現場までバイクに乗って行くほど好きだったんだけど。ハハ。

それでもスピードが好きだというならバイクに依然関心があるはずだが。

私がハンナム洞(竜山区)に住んでいるのだが、そこにハリー・デビッドソンとビクトリーショップがある。そこで1台?でもぜったいだめだ。

車が好きなら時計も当然関心があると思う。

それがちょっと違うんだ。当然皆そうだと思う。私の妻も「なぜ時計が好きじゃないの?」と言う。本当に関心がない。私が持っている時計は結婚の記念品の時計とあちこちでいただいたプレゼントが何個かが全部だ。

前の映画以降持った休暇は保養だと言った。今回の映画の後はどんな計画を持っているか?

もうそろそろ久しぶりに休養しなければ。東南アジアでもどこでも行って家族と一緒に休みたい。7才の息子とも久しぶりに時間を過ごして。

最近一人で余暇を楽しむ趣味は何か?

身体の回復のためでもあるが、登山が好きだ。北漢山(プカンサン)にちょくちょく登るのだが、そこの白雲台はなめてかかったらだめだ。危険だから。山が好きなら山に畏敬の念を持つべきだ。バカにしたらするだけ山も私をバカにするだけだから。

最後に公開準備中である<破壊された男>。うまく行くことを願う。

ありがとう。そうなればいいんだけど。

本当に最後に何の車を持っているのか言ったらだめか?気になっておかしくなりそうだ。

申し訳ない。何となくインタビューで言うのが恥ずかしい。





翻訳:SAMTAさん  〜Special Thanks〜

home

inserted by FC2 system